「今日はよく頑張りやがりましたねえ」
―役には立ちませんでしたけどねえ。
そう付け加えながら即席空間風呂敷を胸に抱いた
夕闇の中
大事そうにそれを抱きしめて
いとおしそうに頬ずりをする
「あなた、スピードとパワーで押し負けたら存在価値ないじゃありませんか」
日頃策謀をめぐらす目がうっとりと伏せられる
「本当にしょうがありませんね」
子守唄を歌うように優しくささやき掛ける
「少しは反省してくださいね」
―真っ暗闇の中で震えながらね
ふわふわと広がる白銀の長い髪は夕焼けの色に染まっていた。