「めんどうくさいな」
そうポツリとつぶやいて男は岩に腰を下ろした。


色素の少ない虹彩は光を反射すれば鈍い銀色に見える。
そのせいで、瞳孔がネコの目のように細くなったり
興味なさげにそっぽを向く様がそのまま映りこむ。
気分の変化が見て取りやすい目をしているわけだが、
分かったからといってどうもできないのがゼズゥという男だった。

ゼズゥはしくじった自分たちを解放して再利用すると言い、
殺処分されることも無くこうして次の仕事を請けているのだが。

何処からとも無く現れ、去る。

目に付くのは妙に多いカラスだけだ。
おそらくゼズゥと何か関係があるのだろうが、得体が知れなかった。
フワフワと背中にかかる長い髪が鳥の羽のようだと思う。


「さて、と」


何が面倒なのか分からないが、
その割に手駒の所にこまめに立ち寄って話を聞いていく。
正体不明年齢不詳。
加えて、生活のために暗殺稼業を生業にしている自分などより
よっぽど悪玉だ。

立ち上がって伸びをする後姿のそのしなやかな背中が
思いのほか若かった。



カラス達が集まってくる
主を運び去るために




「行くぞ」
ボーっとするなよ

相棒に声を掛けられてようやく
自分が気を取られていたことに気づく。

「なんでもないよ」

打ち消すように一度首を振って歩き始める。

恐ろしいのと同時に
どうしても引き付けられてやまない。
あの無邪気な依頼人と顔をあわせるのを楽しみに

「次の仕事に精を出そうか」



























口髭の素敵な暗殺者ズのひとり。
まだ特に誰とも絡んでいない上に素性がほとんど分からないので
容姿を褒めるに留まりました…
誰かこの子をアンアン言わせてください。