てのひら
―――馬鹿か

ああも無慈悲に奪った男に同情したのか

思いなおして首に手をかける
その重みだけで止まりそうになる呼吸
自らの迷いを振り切るように力を込める
そのとき寝ている男の手がスカーの手を掴んだ

―――爆破される

練成陣の彫られた手のひらに一瞬体がこわばったが、
意識が戻った様子は無く安堵する
振り払ってしまわなければならないはずの
その手のひらが伝えるのは
雛のような無防備さで


ひくりとふるえて呼吸が止まる


手のひらは離れて落ちた