今日の空はあの時のイシュバールの空のようだ
地平線が赤く、まるで燃えているようで…
冷たい朝の空気が目にしみる。


「…ちょっと、やめてくれません?」


窓際に座って外を眺めていたキンブリーの毛先をもてあそぶ手があった。
「少しくらいいいだろう」
「…」
続けて、減るものでもなしとか言おうものなら殴っていたと思う。
「減るものでもなし」
振り向きざまに殴りつけようとしたらするりと避けられた。

この男は…

見てくれは真面目なくせに中身はとんだ変人だ。
デスクワーク派で運動神経なんてまるで無いような顔をしてみせるくせに
馬鹿みたいに動けたりする。
とんだ猫かぶりだ。
空を切った腕を掴まれてベッドに引きずり込まれる
抗議の声をあげようとしたらしっかりと抱き込まれて身動きが取れなくなった。

「今日は寒い」

冷たくなった頬を撫でながら
強制的にあと一眠りしようと囁きかける
「…」
その声を耳元で聞いて

現実感のない幸せに身をゆだねた









「……」
やけに広く感じるベッドから身を起こす
寒さに身震いして時計を見遣ると針は朝のおやつの時間をさしていた。
「……」
自分を二度寝に引きずり込んだ上司の姿はどこにもない
ベッドにも独り分のスペースの温もりしか残っていなかった
「……」


こうしてアウトローのレッテルを貼られていく自分が可哀想で
無理やり二度寝につき合わせた上
起こしもせずに放置して出勤していったアーチャーを
いつか寝室ごと爆破してやると心に誓うのだった。